東京高等裁判所 昭和29年(ネ)73号 判決 1954年4月07日
控訴人 清水武夫
右代理人 吉森喜三郎
被控訴人 昭和石油株式会社
右代理人 梶谷丈夫
<外二名>
被控訴人 株式会社神戸銀行
右代理人 井原邦雄
<外一名>
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人等の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の負担とする」との判決を求め、被控訴人等代理人等は、いづれも控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述、立証及びその認否は、控訴代理人において、新らたに乙第一号証を提出し、被控訴人等代理人等において、いづれも乙第一号証の成立を認めると述べた外は、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。
当裁判所の事実認定及び法律判断は、原判決のそれを左の点について変更する外、原判決と同一であるから、その理由を引用する。控訴人が当審において提出した乙第一号証によつては、右認定を覆すに足りない。
控訴人は清算人の代理人として本件手形を振出したのであるから、その手形上の責任はないとの抗弁について。
本件手形は「双葉薬粧株式会社取締役社長清水武夫」の名称を以て振出されたことは、当事者間に争のないところであつて、右会社の清算人のためにその代理人として控訴人が本件手形を振出す旨の記載は、本件手形(甲第一、二号証)には存在しない。故に本件手形が右会社の清算人のためその代理人として振出された事実の証明がないのであるから、控訴人の右抗弁は失当である。
よつて、被控訴人等の本訴請求を認容した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長判事 角村克己 判事 菊地庚子三 吉田豊)